地産地消の家


施主様親子が林業関係のお仕事をされている事から「うちの山の木で造って欲しい」とのご依頼でした。山を歩き、ご先祖が守ってきてくれた木を使わせていただきました。 地元の山の木で家を造るということは、山を育み、災害を減らし、他の生態系を守ります。これこそが昔から日本で受け継がれてきた家づくりです。 造る時、暮らす時、そしてやがて朽ちて土に還るまで環境に負荷を与えない家。 それが『地産地消の家』です。 中々一般のお客さんでは真似できませんが、理想的な家づくりに携わる事ができ、とても幸せでした。 

請負設計施工:各務工務店


伐採と乾燥

木が水を揚げなくなった秋、自然の恵みと今まで山を守ってくれたご先祖様に感謝しながら、選んでおいた木を伐り倒していきます。 倒した木は枝葉のついたまま山に放置する事で、水分をさらに抜く事ができます。 ある程度乾燥し軽くなった所で山から搬出し、皮を剥いで荒挽きをし、再び自然乾燥させます。 

地鎮祭

木が乾燥している間に、図面を作成し、地鎮祭を行い敷地の造成や地盤改良を行います。準備期間として1~2年じっくり時間をかけた家づくりは、より良い材料、工法を選ぶ事ができます。自然乾燥された木材は、粘り強さも香りや艶も素晴らしいです。 替わりのない大切な材料を私たち大工が心を込めて刻んでいきます。

建前

金物に頼らない「木組み」の家の建前が始まりました。良い天気に恵まれ、順調に組み上がっていきます。刻んだ大工が自分達で建前をすることで、きれいに納まっていきます。頑丈に組まれた架構は筋交いを入れなくても何ともありませんが、建築基準法を守り、検査に合格するため最小限の金物は併用しています。

上棟式

本来は棟木が納まったところで上棟ですが、餅投げのため野地打ちまで進みました。 田舎の建前は家族親族だけでなく、ご近所さんや地元の友人達も皆で温かく応援して下さいます。音が出るのも木くずが飛ぶのも「お互い様」という考え方なので、苦情や嫌がらせは一切ありません。 それも施主さんが、今まで良好な近所付き合いをしてきてくれたからでしょう。

そして上棟の夜は施主様が盛大な宴席を開いて下さいました。 ほんと大工冥利につきます。 私たち職人はそうした施主様の気持ちに感謝し、おごることなく、仕事と心で応えていく事が大切だと思います。

完成

構造材も造作材も地元材で造り、壁は土壁を塗りました。環境にも家族の健康にも優しい自然素材を使った「地産地消の家」 私たちも家づくりを山から考える貴重な経験をさせていただきました。 

永く住み継がれる家になっていく事を願っています。